吹奏楽コラム
2024年08月11日

コンクール前日

明日は指導校のコンクールです。100点満点の演奏でなくても100%の力を出し切った思いを掴み取ってもらいたいものです。

すべての学校が万全に準備で臨むことができるとは限りません。指導校は2年連続で顧問の先生が変わっていて、スタイルが定着していません。顧問が変わるということは生徒たちにとっては大きな問題です。適応しきれないのです。連続で顧問が変わるということは2年連続で「前の先生の方が良かった。」といって辞めていく生徒が生じます。従って人材の確保も容易ではありません。顧問の先生と生徒たちどちらも距離感を探っている段階です。音楽作り以前の段階です。

しかし、デメリットはメリットでもあります。この学校の生徒たちは多様な大人と接することにより、豊かな社会性を身につけることができます。コンクールの結果などよりもより貴重な体験です。吹奏楽部の世界ではとかく集団心理が働きがちです。ありがちなのが大きな声で一斉に行う挨拶や謝罪などです。我々の側からすると、その聞こえてくる音から心が伝わってこないことを非常に多く体験します。心を音に乗せる分野に関わっているにもかかわらずです。関わる大人が多ければ多種多様な価値観が存在するので、向き合い方をその都度考えなくてはなりません。関わる大人が正しく導けば生徒たちには一生の財産を供与できます。

ただ危険もあります。あるサキソフォン奏者の先生がSNSに記していた内容を紹介します。指導に向かわれた学校には複数の指導者がいたらしく、生徒は指導者によってマウスピースやリードのセッティングを変えていたそうです。その先生は口輪筋の発達段階に合わせてリードを厚くしていくように指導していたそうですが、別の指導者はどうもそうではなかったようです。これは全く生徒の成長につながりません。風見鶏のテクニックを学ばせて一体何になるというのでしょう。顧問の先生の教育観や生徒のどのような成長の望んでいるのかに強い疑問が生じます。

今日の指導校が本物のバンドになるにはまだまだ時間が必要です。私を含めたコーチングスタッフが互いの想いを翻訳できる媒体になることができたらいいなと思っています。そのためには、正しく導ける大人であることが絶対条件ですね。

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