どの学校のみなさんもどうやって新入部員を獲得しようかと色々と策を講じていることでしょう。チラシを用意したり、新入生歓迎コンサートを企画したり、体験入部を計画したりと頑張っていることでしょう。
見学には多くの新入生が顔を出してくれるものの、実際に入部してくれる人数はそれほどでもなくガッカリしてしまう経験はありませんか?
実は部活動に限らず、実社会でも就職したものの新入社員がすぐに辞めてしまうケースがあります。中卒で7割、高卒で5割、短大・専門学校で4割、大卒で3割の人が3年以内に辞めてしまいます。この7割5割3割の頭文字を取って就職に関する業界では「七五三」と言ったりもします。最近は少し減っています。参考までに1年以内に辞めてしまう割合は以下の通りです。
最終学歴 |
1年以内の離職率 |
実数 |
40人学級に換算した場合 |
中卒 |
31.5% |
676人中213人 |
12.6人 |
高卒 |
17.8% |
137,349人中24,448人 |
7.1人 |
短大・専門学校卒等 |
19.2% |
142,210人中27,304人 |
7.7人 |
大卒 |
12.0% |
448,485人中53,181人 |
4.8人 |
いずれも厚生労働省報道発表資料より引用(リンクはこちら)
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さて、部活を会社として新入社員を新入部員として考えてみましょう。色々な方面から原因や対策を講じることができます。まず事業所規模です。従業員が1,000人以上の大企業と人数の少ない中小零細企業ではどちらが離職率が高いと思いますか?
答えは、大企業ほど離職率が低く、事業所規模が小さくなればなるほど離職率が高くなっていきます。高卒の場合、大企業だと26.6%(4人に1人強)、5人未満の零細企業だと60.7%(5人中3人)になります。これは明確な理由があります。従業員数が多くなるとまとめるために色々なルールを設定することが必要になります。従業員数が少ないと比較的自由に振る舞うことができます。ということは一人ひとりの影響力が自然と大きくなります。嫌な先輩が1人いて、この人と毎日一緒にいなくてはならないのかと考えたらそれだけで逃げ出したくなる気持ちもイメージできる事でしょう。迎える上級生の皆さんは自分の影響力(個性)が新入部員を逃してしまう原因になってしまっていないか考えてみましょう。特に人数の少ない部活ほどこの問題はしっかりと考える必要があります。
次に辞めてしまう人はどのような理由で辞めてしまうのでしょうか? 高卒の場合と大卒の場合では理由のパーセンテージが変わります。以下に紹介します。
最終学歴 |
1位 |
2位 |
3位 |
4位 |
高卒 |
人間関係がよくなかった |
労働時間や休日・休暇の条件に関するもの |
賃金への不満 |
仕事が自分に合わない |
29.0% |
28.7% |
26.1% |
22.2% |
|
大卒 |
自身の希望と業務内容のミスマッチ |
待遇や福利厚生に対する不満 |
キャリア形成が望めないため |
長時間労働のため |
37.9% |
33.0% |
31.5% |
31.2% |
色々な理由がありますが、多くは「実際と違った」ことと「自分に合わない」ことに集約できると言えるでしょう。ブラック企業が「うちはホワイトだから大丈夫。社員同士がみんな仲が良くって楽しいよ!」ということはよくあることです。正直に「うちはブラックだよ」とは言いません。専門学校などによく有りますが、5月のGWの時期に「今AO入試で出願してくれたらTDLのチケットをペアであげるよ。」などと言ってきます。自分に自信があればおまけで釣るようなことはせず、10月の推薦受験解禁まで堂々としているものです。しっかりしているところほど、「親御さんと一緒に見学して気に入ってくれたらうちに来て。」という具合です。またオープンキャンパスなどで施設や海外留学などイベントの紹介、映像でいいところを見せようとするところも要注意ですね。しっかりしているところは「うちの自慢は施設がボロいことと勉強している学生ですから何でも案内役の学生に聞いてください。」のように正直な姿を不細工に示しています。
では、次回は部活に置き換えてみましょう。
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